常見藤代

タツムリが減っているのは湿度のせいだという。どこの道もアスファルトになって、乾いた環境に変わったことがカタツムリを生きにくくさせたらしい。そのことを友達に言ったら、人間もそうなのかもねと答えがかえってきた。たしかに子供のころ、友達の家に行ったら誰もいなくて、しかたなくダンゴムシが集まる便所の裏の湿った土に、拾った釘でオバケのQ太郎をうにうに描いたあの体験は、今思えばとても大切なことだったのかもしれないとも思う。って、文章の流れ、ずれてる?
数日前にブタの足の骨格標本について書いたけど、骨に湿度を感じると、血とか肉とかついてなくても生々しく見えますね。食べ終わって皿の上に置かれたフライドチキンの骨はどこか生(ナマ)を感じます。文字通り水気が生(セイ)なんだろうなあ。つまりは水=命ってことか。って、これも文章の流れ、大げさ?
写真家常見藤代の『砂漠のサイーダさん』(月刊たくさんのふしぎ 2009年5月号 福音館)は、「夫や子どもたちと離れ、たったひとりでラクダを連れてエジプトの砂漠で暮らす女遊牧民サイーダ」さんを撮ったとてもすばらしい写真絵本。なによりサイーダさんの表情がどれもこれもみんな素敵。
その裏表紙に、動物の頭蓋骨を頭に乗せて、ふふふ、面白いでしょうと笑うサイーダさんの写真がある。角があるのでたぶんヤギの骨だと思うけど、はっきりわかるのはそれがずっと砂漠にあったためにカラカラに渇いているということです。そしてそのすっきりとした白はサイーダさんの生き方のようにも見える。
「人間もそうかもね」と言った友達に、「ドライがいい場合もあるみたいだよ」とこの本を紹介したほうがいいですかね。その前にこのサイーダさんを書いた『女ノマド、一人砂漠に生きる』(集英社新書2012)も読まないとね。ていうかそういうゴタクのまえに、すごく楽しみなのよ。まだ買ってないけど。
あれ?今アマゾンで確認したら、紹介した裏表紙の写真がこの本の表紙になってる。