中井久夫

寝ながら読んでた新聞。目の隅に講談社の広告。『ビッグダディの正体』。著者が外国人なので驚く。だがよく見たら『ビッグデータの正体』だった。
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中井久夫サリヴァンアメリカの精神科医』(みすず書房・2012)を読了。サリヴァンの翻訳は読んだことがない。でも読みたくなった。私は素人なのに。ここは読まないで顔だけで済ますか?そう、顔が見たくなるような人物だ。見た。おお、そう来たか。漫画家志望のみなさん。読了したあと、サリヴァンの顔を想像して書いてごらんなさい。実物に勝ちましたか?
物語を作ることはすべての登場人物を肯定すること、そう置くならば、サリヴァンの患者への立場はまさに物語作家と同じだ。それは次の一文でわかる。「精神科治療は細部への愛というものなくしてあり得ない」
関係ないが、神戸に行って海文堂書店に寄ると、もしかして中井先生に会えないかな?と捜してしまう。残念ながら会ったことはないが、奥の専門書の辺りはもちろん、二階へと階段を上るときはだから楽しい。関係ないついでにもうひとつ、中井先生って本を処分するときはどこの古本屋に頼むのだろうか。先生の蔵書で、線でも引いてあって、書き込みもあって、余白にギリシア詩訳の推敲でもあって、船の絵の落書きでもあった日にゃ、そりゃもうあなた!