中井久夫

隣の芝生は青いって言いますが、幸せの国ブータンの隣はどこの国?
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少年漫画家志望のみなさん。中井久夫の『サリヴァンアメリカの精神科医』の続きです。
みなさんは登場人物をどうやって考えますか?なんとなくぼんやりあって、そこから過去に戻っていくやり方ですか?え?違う?まず10人を用意して、そいつら全員の、生まれた日から考えだして、どんな父親でどんな母親か考えて、どんな出来事があって、どんな人間になったか、そういうのを横並びに置いたあと、はて誰が主人公にふさわしいかを検討する……。へえ、そんなふうに作るんですか。変わってますね。いえ、変わってるのは誉め言葉だから、あなたはわが道を行くで前進して下さい。でも普通は前者のやり方ですよね。漫画家志望の場合、やっぱり絵かな?絵から入るのかな?となると、その絵を見ながら、こいつに過去何があったのか?あなたは考えるわけですね。そう、考える。作るんじゃないんですよ。もうそこに彼(女)はいるんだから。そうなんだ、作家だからってねつ造しちゃダメです。自分を掘らずに、精神科医のように謙虚に対等にじっと見つめて考える。こいつに何があったのか?親父がサッカーを好きだった。だからこいつもサッカーを好きになった。親父がサッカーを嫌いだった。だからこいつはサッカーを好きになった。ブラジルで生まれた。だからサッカーを嫌いになった。船で生まれた。だからサッカーを好きになった。なぜ船で生まれるとサッカーを好きになるか?だからそれはキミが考えるんだって。あ、言っておくけど、人間って嘘つくらからね。キミの描いた主人公も嘘をつくことを忘れずに。
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