死刑囚正田昭『黙想ノート』(みすず書房)

死刑囚、正田昭の『黙想ノート』(みすず書房 1967)到着。パラパラと蒲団読書。
これは奇書だな。精神科医の吉益脩夫も解説で書いている通り、実に丁寧に自己を見つめ、見事な表現力(美文!)で内省し母への手紙を書くのだが、なぜか被害者ならびにその家族のことだけは一切出てこない。さらに吉益の言い方によれば「思い上がり」としか思えない自己肯定だ。入所後出会った神父によって改心し、カソリックに入信するので、神から初めて肯定されたということによる高揚から来ているのかとも思えるが、どうもそうでない気がする。サイコパスが持つ都合の良さではないのか。つまり入信は何も彼を変えていないのかもしれない。
ますます『日本の精神鑑定』を再読したくなった。
×  ×  ×
『日本の精神鑑定』最近のも出せばいいのに。それは無理なのか?

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