ニューヨークの村上春樹

ニューヨークの朝。
村上春樹が走っているとサルが追いかけてきて言いました。
「きび団子を下さいな」
「何かの間違いじゃないかな、僕は持ってない」
春樹はキャップを深く被りなおすと走りだしました。
すると、今度は犬が追いかけてきて言いました。
「きび団子を下さい」
「間違いが連続して起こる。つまりはそういう日だってことだね」
春樹は水筒の水を飲むと、また走りだしました。
だがすぐに、もしや?と空を見上げると
たしかにキジが飛んでいます。
春樹はそのキジに向かって言いました。
「きび団子はないんだ、キミの願いをかなえることは僕には無理だ」
するとキジは春樹の前に舞い降りて
「『風の歌を聴け』のころからのファンです。
一番好きなのは『海辺のカフカ』です。
これからもすばらしい小説を」と言うと
「ハブアナイスデイ!」と飛び去って行きました。
春樹はそのキジが飛んで行く姿を見送りながら
「やれやれ」
と言いました。
そこへさっきのサルと犬が追いつきました。
「きび団子を下さい」
春樹は「わかった。だけどきび団子はないんだ。
コーヒーとホットドッグでいいかな、僕のなじみのスタンドで」
と言いました。
しかしサルが
「そういうのは食べられないんですよ」と言い、
イヌも「そうそう」と言いました。
終わり

るるぶニューヨーク (るるぶ情報版海外)

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