お爺さんにもお婆さんにも見える

単行本で読んで面白かったんだけど、どうやら処分したらしい山崎努の『俳優のノート』がまた読みたくなって、ネットで見ると結構な値段がついていたのがずいぶん前の話。それがいつのまにか文春文庫に入って、でもその時は気がつかなくて、さらにこれもすぐに品切れになったらしく、また値段が上がってきたところで、去年その文春が新装版を出した。これなら安く見つかるべと思ってたら、ようやくブックオフで発見。新装版のほうで、表紙が荒木惟惟が撮った山崎努の顔。
山崎は、最近の爺さんは顔が婆さんになっていると嘆く。芥川比呂志の死に顔は猛々しかったと。
実は同じ日に想田和弘の『演劇vs映画ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか』も買った。平田オリザ青年団を追ったドキュメンタリー『演劇1』『演劇2』の監督想田自身による、記録。平田の演劇論と山崎の演劇論は真逆にも思えるし、実は同じことのようにも思えるのだが、面白かったのは、平田がおばちゃんと間違えられるエピソードが出てくること。彼はそういう中性的な雰囲気があるらしい。
さきほど書いた『俳優のノート』の表紙の写真だが、私はそこにいる山崎努が、爺さんに見えない。いや爺さんにも見えるのだが、婆さんにも見えるのだ。
これは揶揄でも悪口でもない。あるいは荒木が優れているのかもしれない。

演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか

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