岩明均②

キンちゃんに会った。
岩明均
「隕石が落ちてこないかしら」「落ちたよ」
昨日はこんな会話で始まった気がする。
それから、ホルター心電図(24時間心電)の話、薬の話、ブラックジャックの話、バーカの話、アラブの春の話、バーカの話、バーカの話、二本松の話、岳温泉の話、菊ちゃんの話、大七の話、2か月で24ページの話。バーカの話、バーカの話、精巣の話、陰嚢の話、睾丸の話、バーカの話、真摯な対応がなんでできないんだよ!の話、70歳の話、修行僧の話、バーカの話、ジャンボハンバーグの話、ジャンボ陰嚢の話、COWCOWの伊勢丹でない方の話、火曜日定休日の話、和風ハンバーグの話、和風精巣の話、バーカの話、バーカの話、バーカの話をして別れた。
だいたいいつもバーカの話が多い。二人とも憤ることが多いからだろう。
別れてすぐに私は電柱に隠れた。実は岩明が来る前に仕込んでおいたことがあったのだ。以前、二人で歩いていて、彼がカラスの羽根を拾い「羽根ほうきに使える」とカバンにガメたことがあった。そこで今回、彼の帰り道にクジャクの羽根を置いておいたのだ。観察力に長けた岩明均は案の定それを発見した。
「なぜこんなところにインドシナクジャクの雄の羽根が!!!」
へえ、あれはインドシナクジャクって言うんだ、知らんかった。
羽根を拾った岩明均(漫画家、代表作『寄生獣』『ヒストリエ』)は静かにじっと見つめる。
おそらくなぜこんな場所にあるのか考えているんでしょうね。あらゆる可能性を考えているんでしょう。そしてそれは30分続いた。
寒いよおおお。早く考察を打ち切ってくれよおおお。
そのときだった。彼は「やれやれ」と一言嘆息すると、インドシナクジャクの雄の羽根をカバンにガメ、その場をあとにした。