千利休

千利休の家の右隣に万利休が越してきた。
これは一興な、と頬笑みながら、内心面白くない千利休
さらに左隣に百利休が越してきた。
百、千、万と、近所の人は「トリオざ利休」と呼んだ。
千は完璧に面白くない。
×  ×  ×
さらに近所の人は千のことを「まん中さん」と呼んだ。
最悪だった。まん中って侘びてないじゃん。寂びてないじゃん。
「でもだったらさ、千て名前が決まりすぎてね?」
その次の日、千は、八百二十七利休と名乗った。
素数である。
覚えにくかった。自分でも間違えた。
数日後、元に戻した。
翌日から「モトセン」と呼ばれるようになった。
おわり。