フランシス・ベーコン

フランシス・ベーコン
近代美術館で開催中の「フランシス・ベーコン展」の図録を読んでいたら、ポスターにもチラシにも使われている「ジョージ・ダイアの三習作」のジョージ・ダイアがベーコンの恋人とでてきた。それは会場でも触れられていたし、別段良いのだけど、「イーストエンド出身のコソ泥だったダイア」と文章が続いて、ちっと驚いた。コソ泥。比喩としては聞いたことはあるが、実際そういうふうにも使うのか?
だけど改めて見ると、角度を変えての三枚組は犯罪者の記録写真を意識してるわけだから、コソ泥はもっともふさわしい「肩書き」にも見えてくる。ベーコン得意の流れる筆の「ブレ」は、財布を盗んでひょいと路地へと逃げるスピードのような気さえしてくる。とそこまで思えば、黒丸は警察か仲間が撃った銃弾の穿った孔か。