菊地信義

お父さん!ボクにも娘さんを下さい!
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平積みになった新刊を、帯が切れてないか、カバーの上部がくんにゃり曲がってないか、そりゃもうなにかの検品のごとく裏にして表に返してチェックする人がいますね。あげくは結局買わなかったりする。
それを見ていた菊地信義が「じゃあ全部カバーが違ってたらそういうお方はどうするの?え?どうすんの?」と意図して作ったのが古井由吉の『野川』だって。『新・装丁談義』(白水社 2008)に書いてありました。蕎麦の繊維を漉きこんだものをカバーにする。すると繊維の位置がそれぞれ異なることになる。そういう仕掛けだそうです。現物を持ってる人はただちに書庫(猫ビル含む)へ走って下さい。捜したけど見つからねえよ!っていう私と同じ人は(さらに私と同じ中年の人は)、昔学校で使った質の悪い藁半紙を想像すればいいのではないでしょうか。