ジョーン・ロビンソン

お父さん!ぼくたちに娘さんを下さい!
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ジョーン・ロビンソン『思い出のマーニー』上下(岩波少年少女文庫 1980)読了。著者に手紙を書きたいぐらい良かった。鳥肌も三回たった。シンプルであるべき部分と複雑であるべき部分がちゃんとわかってる。と書くと偉そうなので、そのバランスの取り方が私と趣味が合う。逆のバランスをとる小説も多いから。
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庭のバラにゴマダラカミキリがいた。その前の日も子供が見かけたらしく、カミさんから話しを聞いていたのだが、そいつはうちのバラで育ったけしからんヤツだそうで、テッポウムシと呼ばれる幼虫時代、枝の内部に入り込み、侵食するように食べ続けて、結局はバラを枯らしてしまう我が家の敵なのだそうだ。そこで私は持っていた傘の先でカミキリを掴まらせ、アパートへと向かった。だいぶ家を離れて「もういいべ」と空に向かって思い切り傘をフルスイングすると、カミキリは空の一番高い地点でぱっと羽を広げ、どこかへ飛んで行った。……という予定だったが、飛ぶことももがくこともなく、彼はびたんとアスファルトに叩きつけられた。すまん。もう弱っていたのか。かみさんが撒いた殺虫剤のせいか。私の気持ちの自分勝手な気休めだが、今度は手で拾って草むらに置いた。単に車に轢かれるのを退避しただけで、カラスに狙われるか、蟻に襲われるかするだけかもしれん。もちろんそれでいいのだが。いや、実は元気で、あのあと飛んで行ったかもしれないが。