名取裕子 六角精児

30年ぶりで母校を見た。映像だけど。
TBSの『同窓会……有名人母校へ帰る』という番組。私より二年先輩の名取裕子と二年後輩の六角精児が高校へ行く。数学の中村先生が出てきて、おお!と思う。中庭の恐怖といって、昼休みをつぶしての応援練習が紹介されてたが、今は応援団そのものがないらしい?そうか、ないのか。あのころは教室での練習もあり、応援団員は血を流すまで黒板にこぶしをぶつけていたんだけどね。一種のデモンストレーションですね。
あ。思い出した。同級生のHが応援を拒否し、手を挙げることをしなかった。応援団に「なぜしない?」と問い詰められて「思想上の理由です」とHは平然と返してたな。応援団は困ってた。だって、あの頃だって、もうそういう時代じゃなかったから。その後、Hは生徒会長に立候補し、見事当選する。そういえば、あいつ、授業を抜け出してサルトルのドキュメンタリ映画も見に行ってたなあ。倫理社会の時間、先生とHがその話をするんだけど、二人以外は全員ぽかんだった。
卒業して大学に行ってからは、仲が良かったわけじゃないから、会うことはなかった。数年後、久しぶりにHの名前を聞いたのは「Hが自死した」という連絡でだった。
話もろくにしなかったのに、印象は強い。だって立候補のときのスローガンをいまだに覚えてるんだから。選挙演説で、Hは応援団のときと同じようにこぶしを振り上げず、だが射るような目で言った。「主体性から出発しよう」。
×  ×  ×
番組を見ていて楽しかった。高校時代は実に良かったなあと思った。
だけどその晩見た夢は、高校生の自分が実にみじめだったかを再現するものだった。ふふふ。たしかにそうなのだ。しかしだからってなにもそんなに律儀に仕事することないじゃんか、私の無意識よ。

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