セックスのときどこに汗をかくか

次男がこの前学校で受けた文部省の学力テスト、国語の問題に、日高敏隆(「動物の言い分、人間の言い分」)が使われていた。今、ちんたら読んでいる『日高敏隆口説き文句』は日高の追悼文集だが、編者の一人、小長谷有紀が「中学の入試問題とか模擬試験では日高先生の文章が圧倒的に多いです」と言う。
この本で羽田節子が日高は語学が堪能で「翻訳もまた原著に忠実で一言一句おろそかにしなかった」と書いている。ん?これは別に意地悪で言うんじゃないのだが、たまたまその数日前に増原良彦の『がくがく辞典』を読んでたらこんな文章が出てきた。デズモンド・モリスの『裸のサル』。人間はサルと違ってセックスのときにいろんな体の部位に発汗をする。額とか手のヒラとか上唇とか。上唇。そんなとこ汗かくか?と増原は言う。これは明らかな間違いだろう。Lipには口ひげが生えるところも含むから、upper lip は鼻の下という意味で、英語を勉強した人なら雑学的に知ってる話だけど、翻訳者日高敏隆はまさに忠実に訳してしまったのかもしれない(知らないはずはないから)。
とは言っても、そんなのは先生の傷にもならないし、この本はそういう本ではない。日高先生がいかに女たらしで、人たらしだったかわかる楽しい本。たらされた人たちが書いてるんだから、これは間違いない。

日高敏隆の口説き文句

日高敏隆の口説き文句

がくがく辞典

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裸のサル―動物学的人間像 (角川文庫)

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