高校3年の学祭で

今から35年も前の高校3年の戸稜祭(文化祭)、美術部の展示の部屋を半分もらって、仲間6人のグループ展をやった。この学祭ではポスターを生徒から募集したのだが、意味不明と落選したペコちゃんのポスターや、土建屋××組の看板をあちこち撮りに行って作った組写真や、粘土で作った友達の顔などを展示した。文集も作った。100円で売った。誰も買わないかと思ったらよく売れた。
拾ってきた便器も置いてあった。と書けばデュシャンを気取ったと思われるかもしれないが、そうではない。便器は和式だったし。
真似したのは赤瀬川原平だった。新聞の尋ね人の切り抜きを並べてあったのだから、すぐにわかったはずだ。部屋には友達が茶碗をちんちん叩いているカセットテープが延々流れていて、ずっといると頭がおかしくなりそうだったが、ゲージツをやってるのだから我慢した。でも楽しかった。そこにいる私とそれを見ている私がいて、それが気持ちよかったのだろう。しれっと軟らかく分裂すること。赤瀬川ゲンペーさんが教えてくれたことだ。
そして私は大学に入り生まれたばかりの尾辻克彦と出会う。小説『肌ざわり』。書き出しの「本日は晴天である」で、もう完全に打ちのめされた。エッセイは知っていたが、まさかここまで小説もすごいとは。真似したかった。だがこれは無理だった。
合掌。

父が消えた (文春文庫)

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