漫画家志望のみなさん

え?ジャンケンって審判いらないの?
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少年漫画家志望のみなさん。持ち込みに行って、編集者から台詞を褒められたとしたら、大いに自信を持っていいです。絵も構成も話も勉強してうまくなりますが、台詞だけはそうじゃありません。たとえば構成はいくらでも教科書があるし、ていうか構成なんてある意味ルールでしかない。だけど台詞は勉強してどうなるものでもありません。しいていうと無意識を豊かにするしかない。長谷川伸のいう「頭で考える言葉じゃなくて腹から出る言葉を吐け」ってのはそのことです(たぶん)。もちろんここでいう台詞は、漫画の世界でいう「キャラ」と重なります。その台詞を言えるのが、そのキャラだけで、その台詞からこそキャラが見えるわけだから。はっきしいえば台詞がキャラだ。当然これはすべての登場人物に当てはまります。この場合、次のような順番で考えて私は仕事をすることも多いです。主人公がAの台詞を言ったとき、他の登場人物はどう台詞を返すのか?そこから他のキャラを作るのです。ここでは2つのことが要求されます。1、そのキャラはどういう人間なのか。2、主人公とはどういう関係なのか?
たとえば主人公が1万円を拾ったとしましょう。主人公はなんて言いますか?その台詞に対してライバルはなんて言いますか?お母さんはなんて言いますか?友達はなんて言いますか?うまく作れないときは、のび太ジャイアンで想像してください。
主人公が満員電車でおもらししたら?主人公が車で人を轢いたら?主人公が天使に会ったら?主人公がメイプル超合金にトリオになろうと誘われたら?主人公が銀シャリにトリオになろうと誘われたら?主人公がトップリードにトリオになろうと誘われたら?主人公が関ジャニにトリオになろうと誘われたら?「関ジャニはコンビじゃねえよ!お笑いだけど」はい。今の台詞は0点です。
ね。さっきも言った通り、台詞は勉強できないんですよ。
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吉野弘『くらしとことば』読了。


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