ましろ日 1巻 誰も書かないなら俺が書評を書く

誰も書いてくれないから(今のところ)架空の書評。
ましろ日』1巻。
この漫画家、編集担当者、原作者のチームは「そのあと」が書きたいのかもしれない。
誰かが歩く。走る。その後ろ。その背中。
大事なことは私ではない。私の前に人がいるということだ。
それは広島を舞台にしたことでもわかる。
私の前にあるのは人だけでなく、歴史もだからだ。
タイトルからしてそうだ。当初のタイトルは原作者の意向で『広島』だったと聞く。
だが漫画家の提案で『ましろ日(ひ)』になった。
提案されて原作者は喜んだのではないか。
文字通り「ひ・ろ・し・ま」を後ろから追う「ま・し・ろ・ひ」だったから。
さらに新連載巻頭カラーの見開きタイトルページも興味深い。
そこには主要登場人物は描かれていない。
描かれているのは原爆ドームの脇の道を歩いて行く人々の後ろ姿だ。
だから我々は想像しなくてはいけない。
登場人物がそのあとに続いていることを。
それを想像することで、
この作品の読者は
自分にもまた前を歩く何かがあると気づくだろう。
それは佳き先輩かもしれない。
あるいは不幸な事故かもしれない。
どちらにしてもついていく。
それがこの漫画の書きたいことなのかもしれない。

ましろ日 (1) (ビッグコミックス)

ましろ日 (1) (ビッグコミックス)


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