ましろ日 1巻 誰も書かないなら俺が書評を書く
誰も書いてくれないから(今のところ)架空の書評。
『ましろ日』1巻。
この漫画家、編集担当者、原作者のチームは「そのあと」が書きたいのかもしれない。
誰かが歩く。走る。その後ろ。その背中。
大事なことは私ではない。私の前に人がいるということだ。
それは広島を舞台にしたことでもわかる。
私の前にあるのは人だけでなく、歴史もだからだ。
タイトルからしてそうだ。当初のタイトルは原作者の意向で『広島』だったと聞く。
だが漫画家の提案で『ましろ日(ひ)』になった。
提案されて原作者は喜んだのではないか。
文字通り「ひ・ろ・し・ま」を後ろから追う「ま・し・ろ・ひ」だったから。
さらに新連載巻頭カラーの見開きタイトルページも興味深い。
そこには主要登場人物は描かれていない。
描かれているのは原爆ドームの脇の道を歩いて行く人々の後ろ姿だ。
だから我々は想像しなくてはいけない。
登場人物がそのあとに続いていることを。
それを想像することで、
この作品の読者は
自分にもまた前を歩く何かがあると気づくだろう。
それは佳き先輩かもしれない。
あるいは不幸な事故かもしれない。
どちらにしてもついていく。
それがこの漫画の書きたいことなのかもしれない。
- 作者: 香川まさひと,若狭星
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/07/28
- メディア: コミック
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